セーラー服の歌人 鳥居(岩岡千景)

2歳で両親が離婚、小学生で母の自殺、養護施設での虐待、ホームレス生活などを体験。中学校もあまり通えず、拾った新聞で文字を覚えたというした女性歌人「鳥居」の半生を描いたノンフィクション。
すべてが事実とは私には信じられないほど、過酷な人生を送っているので、正直言って、どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのか、判然としません。
それを割り引いたとしても、圧倒的な体験と感性に基づいた短歌は、心を揺さぶって離さない。母の日の思い出、母の死と、精神の病、養護施設施設でのいじめ、学校での孤独、家族との葛藤、歌作とNPO活動… どのシーンをとっても、過酷な苛烈な人生体験
ひとつご紹介。

音もなく
涙を流す我がいて
授業は進む
次は25ページ

その他の短歌は「キリンの子 鳥居歌集」を読んでいただくことにして、本書で読んだ金子光晴の短歌が気に入りました。

愛情をさがすのは
熟練がいるのだ。
錠前を、そっと
あけるやうな。

セーラー服を着ているのは、自分と同じように学校に行けなかった人たちが、再教育を受けられる社会になるように、という願いをこめているため。
踏まれても押されても生きている人がいて、愛情を求めている。
さて、僕は…
(2017/12/09読了 ★★★★★)

photo by francois karm via frickr

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